今川, 京子
(西南学院大学言語教育センターSeinan Gakuin University Center for Language Education, 2019-03)
Thomas Hardy は作品中、メタファーや枠組みとしてキリストの教えや聖書を用いた。これはHardy がキリスト教的倫理観を小説の中に持ちこもうとした結果ではなく、逆説的にキリスト教がその出発点として持っていたような破壊的な力を小説において用いようとした結果と考えられる。キリスト教が支配する硬直した社会の中、普遍宗教としてのキリスト教、制度化される以前のキリスト教のメタファーを用いることで、現代における人間性の復権、根源的宗教性の ...