抄録:
本研究の目的は,職場チームにおける対面的なコミュニケーションの発達過程を実証的に明らかにし,パフォーマンスとの関連を検討することである。実際の組織のプロジェクトチームを対象に,11カ月間,対面的なコミュニケーションを記録・測定した。チーム毎の対面時間と3つのコミュニケーション・ネットワーク指標―密度,推移性,集中度次数を,上期-中期-下期の3つの時期に分けて算出し,パフォーマンスの程度(3)×時期(3)の分散分析を行った。分析の結果,どのチームにおいても対面時間が減少し一定の水準に収束すること,パフォーマンスが高いチームでは密度は低く集中度は相対的に高いことが示された。また,効率的なチーム活動は,明示的なコミュニケーションの単なる省略ではなく,推移性の高い構造によって支えられていることが明らか
となった。