第48巻3・4号 (2016)

 

このコレクションのアイテム

  • 田中, 英司 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    わが国の居住を目的とする借家権に対応するドイツの住居使用賃借権を対象とする比較研究において、筆者は、近時、住居使用賃借権に関するドイツの裁判例を包括的に考察する作業を行っている。すなわち、いずれの法領域も「住居をめぐる所有権と利用権との法的関係の一断面」を表すものと理解したうえで、第一に、住居使用賃借権の存続保護という法領域に関して、賃貸人の「自己必要」を理由とする住居使用賃貸借関係の解約告知に関する裁判例の判断枠組みを考察し、第二に、 ...
  • 齊藤, 芳浩 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
     「人権」(les droits de l’homme ; human rights)という言葉は、「人間」(homme ; human)と「権利」(droit ; right)という二つの概念の組み合わせである。この「人間」という概念と「権利」という概念は、日常的な世界でも一般的な概念であるが、法学の世界においても基本的かつ基礎的な概念であることは言うまでもないであろう。ところで、もし基礎的な概念の把握が曖昧であるとするならば、その上 ...
  • 小林, 博志 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    国民は違法な又は不当な行政活動とくに行政処分で権利利益を侵害された場合、救済手段として、不服申立て又は取消訴訟を提起して侵害された権利利益の回復を図ることができる。不服申立制度又は取消訴訟制度において、処分によって権利を侵害された国民は、不服申立人又は訴えの原告として、処分の違法性又は不当性を主張し、他方、処分を行った行政庁及び行政庁が所属する行政主体は、処分の適法性などを主張する。行政処分に関する一つの紛争を想定すると、原告が最後まで ...
  • 宮崎, 幹朗 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
  • 石森, 久広 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    基本法旧115条1項2文について1989年に連邦憲法裁判所の初めての判決が出されたのに続き,ドイツでは2007年7月にも,連邦の予算(2004年度連邦予算法律)の合憲性をめぐり,連邦憲法裁判所の判決が出された。背景には,2001年から2003年の予算年度において起債の増額が,さほど審議もされずに行われたことがあり,2004年度予算法律については,すでに立法段階から争いの徴候が現れていたという。当時の政権与党は,SPD,Bündnis ...
  • 勢一, 智子 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    現代の環境法政策において「持続可能な発展(sustainable development)」は,基底をなす理念である。この理念は,1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で国際的に提唱されて以降,各国で法政策に取り込まれて展開されるとともに,国際レベルでも,2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(リオ+10),2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)を始めとする検討やフォローアップを経て,環境配慮を基礎とする社会構造 ...
  • 小寺, 智史 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    近年、文化と国際法の関係について活発な議論が展開されている。それぞれの議論の射程や内容は論者によって異なるものの、現在の議論のなかには、従来の世界貿易機関(以下、WTO)における「貿易と文化」論を超える研究や、「国際文化法」または「文化の国際法」としての体系化の 傾向さえも見て取ることができるように思われる。文化と国際法に関する議論が活発化している理由として、国内及び国際関係において文化の重要性が増大していることはいうまでもないが、より ...
  • 鵜飼, 健史 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    社会的排除は、いまや世界全体が直面する人類史的な課題である。こうした21世紀初頭の学的状況は、政治学においても知られるようになってきた。本稿は、そのなかでも腰の重さを自認する政治理論研究の観点から、社会的排除を問題化したい――時間がかかったからこそ見えるものがあるかもしれない。とりわけ、社会的排除に対して、代表制民主主義がどのような対策を準備できるかを理論的に明確化する。このテーマに取り組むために、本稿では、排除と対比される包摂の位置づ ...
  • 奈須, 祐治 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    本稿は,ジョン・ポール・スティーブンズ(John Paul Stevens)の法理論を検討する予備作業として,そのバイオグラフィを描出するものである。スティーブンズは1975年12月19日から2010年6月29日まで,34年を超える長期にわたって連邦最高裁の陪席判事を務めた。なぜこのアメリカの一判事を日本で紹介する必要があるのか。これにはいくつかの狙いがある。まず,日本の憲法学におけるアメリカ法研究はかなり蓄積しているものの,個々の裁判 ...
  • 小山, 雅亀 (西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2016-03)
    証人審問権ないし対質権と伝聞法則との関係は我が国においても詳細な議論がなされてきた。また、アメリカにおいては、Crawford判決が修正6条の対質権と伝聞法則との関係を「切断」した結果として、修正6条が適用される供述と適用されない供述とをカテゴリカルに区分しようとする試みが続けられている。同じく伝聞法則を採用するイギリスにおいても、近年イギリス国内法の伝聞法則と欧州人権条約(以下「人権条約」という)6条3項(d)が保障する証人審問権との ...

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