抄録:
美術史上、日本とフランスの出合いといえば、ジャポニズムが浮かぶであろう。浮世絵が西洋に与えた影響は大きいが、逆にその浮世絵には、西洋画法の影響も見られる。ここでは、19世紀の後半に現れた印象派の一人クロード・モネと、モネの絵画に影響を与えた江戸後期の画家歌川広重の作品を扱うが、その影響がどのようなものであったかではなく、両者が描いた自然の景観を取り上げ、各々の作品が表現している自然に商店を絞り、浮世絵が示す日本の自然観がフランスにどのように伝わっていたか、そして広重とモネの描く風景画の特徴から、各々においてどのような自然観を読み取ることができるのか、つまり東西風景画の出合いとすれ違いをみて行きたいと思う。