抄録:
キャリア教育の必要性や意義の理解が学校教育の中で高まってきており、実践の成果も徐々に上がっているとされる一方、キャリア教育に対する理解や実践内容・水準にばらつきがあるとされている(中央教育審議会,以下中教審,2011)。キャリア教育を進めていく上で重視されているのは「勤労観・職業観」の醸成であり、“生涯の中で必ず訪れるいくつかの転機に対処するためにも、また自ら積極的に選択して進むべき道を変更するためにも、こうした「勤労観・職業観」を形成する過程を経験しておく”ことが大切である(中教審,2011)。渡辺(2014)は、キャリアを“生涯を通して他者および社会と関係する中で得られる諸経験の価値づけ、意味づけで構成される個々人それぞれ独自の生き方の構築の過程”としており、キャリアデザインを形成するうえでは様々な経験を価値づけたり意味づけたりすることはとても重要であると言える。本研究では大学生のキャリアデザインを考えていく上で重要な「働くことのイメージ」や「働くことの意味」を大学の授業で取り上げ、そこで得られたデータをKJ 法(川喜田,1967,1970)による質的分析によって探索的に検討したので報告する。