武末, 祐子
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2014-02)
古代ローマのネロ皇帝の黄金宮に描かれていた装飾が、ルネサンスイタリアで発見されるやラファエロによってヴァチカン宮殿のロッジアに応用され(図1 )、そのロッジアがエカテリーナ2 世の望みでロシアのエルミタージュ宮殿に再現され(図2 )、19世紀のヨーロッパでは新古典主義建築様式に広く適用されるという歴史をたどるグロテスク装飾は、鉱物、植物、動物、人物が混じりあった形態の美しさ(あるいは奇異さ)を特徴とする。建物の壁や天井、窓枠などに描かれ ...