抄録:
私は、2010年4月から本学に在籍するようになったが、最初に関わることになった授業の一つが、沢野直紀教授と、私と同時期に本学に採用された吉田知弘弁護士(当初は准教授であったが、その後教授になられた)と共同で担当する「民事法総合演習Ⅱ」である。以来、沢野教授とは研究室が隣同士ということもあって、大変お世話になった。また、坂梨教授は、互いに裁判官経験を有する者同士という気安さもあって、大変親しくお付合いいただいた。新米教師である私にとって両教授の存在感は特別のものがあり、が本学で楽しく充実した時間を持つことができたことについては、両教授のご指導に与るところ大なるものがあった。その両教授が、私より一足先に定年を迎えられ、本学を去られるという。寂しい限りである。ところで、私は、2010年の第80回民訴学会における鶴田滋九大准教授の報告について検討したところを「共有者が原告である場合の訴訟共同の要否と提訴拒絶者への対応」と題して法学論集43巻1・2号合併号に発表した。これが、私と法学論集との最初の出会いであるが、意外なことに、そして、大変嬉しいことに、最近刊行された高橋宏志教授の『重点講義・民事訴訟法【下】第2版』の中でこの論稿が引用されたのである。そこで、本稿でも、民訴学会第82回大会シンポジウムで取り上げられた民訴法改正の検討項目について論じ、これを両教授の古希祝賀記念号に寄稿させていただくことにした。しかし、力不足と時間不足のため、甚だ検討不十分で粗末な内容にとどまった。このようなものを両教授に捧げるのは大変申し訳ないが、私の感謝の思いをおくみ取りいただいて、ひらにお許しを請うものである。