抄録:
すでに,筆者は,1537年にvon Ellenbogen, Erhartによって出版される印刷本の初版本を「ドイツ固有の簿記の展開」(本誌,49巻1号,49巻2号)として解明したところである。しかし,いま,読み返してみると,「ドイツ簿記の16世紀」を解明するのに急いだあまりか,「ドイツ固有の簿記の再考」(本誌,57巻3号)として,その改訂本まで再考したところでは,推敲不足,したがって,解説不足であったことを痛感するのである。そこで,改めて,この初版本を解明して,このドイツ固有の簿記を再説してみることにしたい。