抄録:
昨年度(二〇〇六年度)後期には、私は講義・ゼミ、そしてさまざまの大学内の職務から解放される国内研究を与えられましたので、私のいない教授会で決まりましたこの二〇〇七年度の開講講演の担当は、当然の義務として受けさせていただきました。そして、二〇〇七年三月にもたれました昨年度の「卒業生のための神学シンポジウム」では、私の「十字架の神学」に対する天野有教授および片山寛教授の批判が展開され、それに対して私が応答することを求められましたので、そのようにいたしましたが、議論が十分になされたとは言い難いように思われますので、そこでテーマとなりました「贖いの思想」、それは多くの場合「贖罪論」と同一のものとして扱われるのですが、それとの関連における「十字架の神学」について、この開講講演でさらに展開してみたいと思った次第です。