仲澤, 幸壽
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2007-02)
経済行動理論において最近注目されている「過信」に関して,過信と慢心の相違を明確化し,明示的で操作が容易な過信の定式化を提案する。そして,意思決定理論または経済心理学の分野で従来から指摘されてきている非合理的行動(アノマリー)との関係を検討する。過信と慢心の相違点は,過信の定義を,客観的に合理的な水準よりも過剰な努力水準を選択する場合とし,慢心は逆に,過小な努力水準が選択されるケースとして分類される。その要因は,双方の場合とも,自己の成功 ...