抄録:
ハワイ島は、西北西~東南東方向に配列する延長2,400km に及ぶハワイ列島の島嶼群の南東端に位置し、面積10,451k㎡の火山島である(Macdonald, G. A., Abbott, A. T. and Peterson, F. L., 1983)。ハワイ列島はホットスポット上に形成された火山島群から成り、ホットスポットの上に位置する太平洋プレートの等速的な移動の結果、点々と火山が連らなる島列を形成したものと考えられている。Dalrymple, G. B. ほか(1973)は、太平洋プレートの移動速度と火山岩の年代との関係を検討した結果、太平洋プレートの西北西方向のほぼ直線的かつ等速的な移動を、マントル深部に位置するホットスポット仮説で説明できると考えた。現在はハワイ島周辺で溶岩流出が活発であり、この事実は、一般的には、ハワイ島下方のマントル深部に位置すると推定されるHawaiian Hot Spot の存在で説明されることが多い。Dalrymple らが現在のHawaiian Hot Spot の真上に形成されている火山としたハワイ島のキラウェア火山は、中心火口であるキラウェアカルデラと、その東方に延びるイーストリフトゾーン(East Rift Zone)で最近も度々噴火を繰
り返しており、溶岩流の噴出年代が特定されている数時期の溶岩流を噴出しているほか、現在も継続的に溶岩を流出する活動を継続中である。ここでは、溶岩流地帯の土地条件の変化過程の自然的特徴について解析する目的で、西南学院大学研究助成制度「湿潤熱帯地域における火山等自然災害後の土地条件変化に関する研究」の助成を受けて、2015年3月1日~6日に実施
したハワイ島イーストリフトゾーンの現地調査について報告し、特に溶岩流地帯に植生が侵入するプロセスについて、現地調査で明らかになった点を中心に報告する。なお、主たる調査地域は、ハワイ島東南部プナ(Puna)地区のパホア(Pahoa)からカイム(Kaimu)(Kalapana 付近)までの州道130号線、カイムからカポホ(Kapoho)までの137号線、カポホ(Kapoho)(Kumukahi 岬付近)からパホアまでの132号線の沿道を中心とした地域周辺である。