抄録:
日々の生活において,健康であることが様々な消費活動から効用を得る上で重要な要素になっている.そのため,人々は健康を維持向上させようとエクササイズをしたり,健康によいと思われる食品を消費やサプリメントを摂ったりする.それらの行動は消費という側面と,健康という資産を維持向上させる投資という側面とを持つ.他方では,行動経済学的観点からすると,健康であることが常態である個人にとって,それは現状であり参照点であるということになる.この論文では,期待効用理論と行動経済学それぞれの観点からなる健康維持増進行動に関する意思決定を比較検討する.さらに,トクホ商品のような消費財と健康維持増進という多機能性を持つものへの需要決定についても議論される.