福永, 俊輔
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2014-05)
一般に、因果関係とは、「原因―結果」の関係をいう。刑法学においては、実行行為と現に生じた結果との間に「原因―結果」の関係があるかという形で問題とされ、両者の間にそうした関係がある場合に、結果の実行行為への帰属がなされる。この因果関係は、とりわけ結果犯において、その成立のために必要な要件とされてきた。因果関係論は、長い間に渡ってわが国の刑法学における中心論点の一つとして数多の議論が積み重ねられ、現在に至っている。 因果関係をめぐる議論は、 ...