抄録:
第二次大戦敗北後、我が国社会の混乱と変動の中で、戦前築き上げられてきた学制ならびに教育制度は占領下で大きな変革をこうむることになった。我が西南学院もその例外ではなかった。それは本学院の教育制度の大掛りな改組、校用地の交替と拡張、校舎の大規模な新増築、教職員の増加などのうえに見て取ることができよう。こうした戦後直面した数々の困難を乗り越えて発展をとげた本学院の今日の姿を見るとき、当時学院運営の衝に当たられた教職員の方々のご苦労を偲ぶとともに、私達は戦時中の国家間の抗争や人種の差異を越えて、物心両面から支援してくださったアメリカ南部バプテスト連盟の方々の好意を忘れることはできないであろう。ここでは、西南学院大学で職業生活の大部分を送った私が経験した大学内での教育行政組織の諸改革、アメリカでの在外研究生活、度重なる大学紛争、西日本の大学で先駆けて実施された国際交流事業の発足とその後の曲折、役職の時期に取組んだ課題や研究などについて、記憶をたどり資料によって綴ってみることにしたい。それらが学院創立100周年の歴史を記録するうえで少しでもお役に立つならば幸いである。