Abstract:
通常の消費の理論では,暗黙の裡に消費活動の期間が一定であるとの前提を置いている.期間分析であれば,1単位期間のうちに生産と消費が同時に行われ市場が均衡するとされる.その期間を無限小に分割した形の連続分析でも,考え方は基本的に同じである.しかし,どの程度の間隔をおいて消費を実行するかは,現実生活ではしばしば調整の対象となる消費活動の一部であり,消費と生産とは異なるタイミングでなされるのが通常である.このタイミングの相違が,現実の市場で見られる様々な問題となる現象の要因の一つと考えられる.そこで,この論考では,消費量だけでなく,購入間隔(消費期間)をも意思決定対象となるモデル構築を試みる.そのモデルの応用として,限定合理性的主体を前提とした名目価格形成モデルの可能性も検討される.