Abstract:
タイはアジア通貨危機の震源地であるが,10年前と比べて経済指標は大幅に改善している。アジア通貨危機は,金融危機が引き金となって発生したため,まず金融制度の改革に着手され,つづいて金融機関の融資に依存していた企業の組織や事業の改革が取り組まれた。さらに通貨危機後に景気後退に陥り失業や貧困が増加したため,農村への経済対策に焦点が当てられた。ここでは通貨危機後のタイ経済に関して,①金融の再構築,②企業の再構築,③地方振興政策の三つの分野から,改革がどのように進められたかを振り返り,それらの評価を考えたい。