Abstract:
オーストラリアは,決済システムの規制に本格的に乗り出し,クレジットカードのインターチェンジ料金の「上限規制」をはじめとして,「No-Surcharge ルール(NSR):超過支払い禁止ルール」の廃止,「アクセス規制」などの政策を実行している。多くの国では,クレジットカード市場は競争促進政策で対応しているのに対して,オーストラリアの中央銀行RBA はクレジットカードを決済システムの要因として重要視して直接規制の対象としたからである。そのため,RBA の決済システム規制の成果は他国の競争政策の結果と比較検証する上で極めて注目される。特にクレジットカードのインターチェンジ料金規制は,両面性市場(TSM)における,一方の価格規制がシステムにどのような影響をもたらすかを検討する貴重な実験とみることができる。本稿では,RBA のインターチェンジ料金規制の根拠,その経過,そしてその結果を検証する。