Abstract:
仲澤[36]で提示した,競争戦略に関する経営的意思決定を左右する心理的ファクターモデルを景気変動モデルとして拡張する。拡張点は,競争する企業数を増加させる点と意識する戦略履歴期間を延長する点である。また,景気変動を引き起こす心理的要因は既に実行された競争戦略の関数として記述されるものとされるが,その点についても付加的な分析が追加される。すなわち,心理的ファクターが「単調的」なケースと「複合的」ケースとに分けられ,「複合的」ケースが心理的要因から景気変動が生み出させる場合に相当することが明らかにされる。単調的な場合とは過去の戦略の与える効果の微係数がすべて同符号のケースであり,複合的ケースとは異符号の微係数から形成される場合である。