Abstract:
筆者は,「記録」の起源について,すでに,本誌に掲載したところである。引き続いて,複式簿記の「記録」について取組もうとしたのだが,筆者の停年も目前であることから,研究室を片付けていると,その複写を依頼して,これまでに苦労して入手しえておきながら,通覧しただけで忘れてしまっている印刷本,特に「ドイツ固有の簿記」を解説する印刷本が多く見出される。しばし片付けるのを中断して,この印刷本を読み返してみると,「ドイツ簿記の16世紀」を解明するのに急いだあまりか,資料不足であったことに加えて,推敲不足,したがって,説明不足であったことを痛感させられる。筆者には気掛かりなところでもあったがために,これまた,しばし中断して,この「ドイツ固有の簿記」について取組んでしまったことから,複式簿記の「記録」について取組むのは,ここまで遅れることになってしまった。改めて,「記録の起源と複式簿記の記録」を解明しようというわけであるが,筆者に残された時間からは,はたして,どこまで解明しうることやら・・・。筆者なりに納得しうるところを本誌に掲載することにしたい。