抄録:
「…翻訳は原作からの結果である。原作の生というより,それが生き残る生〈Überleben〉の結果である。というのも,翻訳はそもそも原作より遅れるものであり,原作の成立した時代においては選ばれた決定的な翻訳者をそこでは一度も見出すことがなかった重要な作品では,翻訳は,その原作の死後にも残るべき生〈Fortleben〉の段階〈Stadium〉を示しているのである」(W・ベンヤミン『翻訳者の使命』)「翻訳は,実際に可能なのかどうかという,常に反復される問いは,古代における宗教的また心理的疑念に根ざしており,その疑念は,一つの言語〈tongue〉から他の言語への何らかの通路が存在すべきかどうかという疑念である」(G・スタイナー『バベルの後に』)