抄録:
以下の文章は、パウロにおける「超越」と「内在」についての問題の全体像を探ろうとするものではない。むしろこれは、私が2006年7月10日(月)の神学部チャペルにおいて、パウロ書簡の、とくに第二コリント13・1-10に基づきながら、「超越と内在」と題して説教をしたときの原稿を大幅に加筆訂正したものである。したがって、このテーマに関係するパウロの文言が網羅的に扱われているわけではないということを、最初にお断りしておきたい。しかし、そのテーマを神学部のチャペルにおいて私が取り上げたということは、それが「神学」にとって基本的かつ重要なテーマであると私が考えていることを意味しているので、その意味で「神学」に関心をもつ者にとって何らかの参考になり得るならばと願いつつ、まとめてみた。