抄録:
アメリカンボードの19世紀中期(1851-1880)における顕著な特質の一つに女性宣教師の活躍がある。財政的な困難を度々抱えた時期に,彼女たちの堅実な活動は宣教現場の信頼を得た。しかし,女性宣教師の活躍は19世紀中期に入って突然に出現したわけではない。前期にも多くの女性宣教師がいた。当時,海外宣教は女性が社会的に活躍できる数少ない現場の一つであったからである。セイロンで「一千人の娘たちの母」)と呼ばれたイライザ・アグニュー(Eliza Agnew, 1807-1883))も女性宣教師の先駆けとなった一人に違いない。セイロンにおけるアグニューの活動は1839年から79年にまで及ぶ。19世紀中期を中心に彼女の宣教活動の思想と行動を探りたい。