Abstract:
近年、思春期の愛や憂鬱など青少年の成長過程における個人的な経験と感銘を中心に描く中国の八〇後文学(1980 年代以降に生まれた中国人作家の文学を指す)の作品が圧倒的な販売数で中国図書市場を占めている。これらの作品は同じようなテーマを取り上げるだけではなく、修辞面においても共通点が多く、特徴的である。八〇後の代表作家張悦然は八〇後文学のことを「形容詞の文学」と称し、その特徴を分かりやすく指摘した。従来の文学に比べて、八〇後文学は言葉の個性を非常に重視し、派手で誇張的な表現を好む。近似音を利用したり、語順を変えたり、語義を変えたり、通常の文法規範に反する表現をしたりして、言葉の革新に力を尽くしている。また、一部の八〇後文学作品において、伝統文学と異なる書式と文章記号の使い方も見られる。本文は、従来の文学作品と比較しながら、近年の八〇後文学の作品における書式と文章記号の使い方の変化、またはその変化の理由と影響について考察を試みる。