仲澤, 幸壽
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2012-10)
近年行動経済学の知見に関する解説書の出版は盛んになったが,その成果を実際の経済問題へ応用して政策提言する研究は極めて少ないと言わざるを得ない。その原因は,おおよそ2点に絞られるであろう.1つめは,行動経済学的意思決定理論のモデル化が難しいという点である.2つめは,スタンダードな効用理論あるいは期待効用理論から導出される需要関数とは本質的に異なるものが導出可能かという問題である.つまり,右下がりの需要曲線が導出される結果に違いはないのでは ...