小林, 隆児
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2017-02)
こころの病の成因を、母子を基軸とする関係の中で生起したアンビヴァレンスに求め、それが生涯発達過程で息づいていると考える筆者は、「関係」と「情動(甘え)」に焦点を当てた治療を実践している。それを筆者は「関係発達臨床」と称している。その基本にあるのは、こころの病の治療も本来人間のこころが育まれていく過程も原理的に同じだとの考えである。よって「関係発達臨床」で母子関係あるいは<患者-治療者>関係が修復ないし再生すれば、本来のこころの成長発達へ ...