抄録:
今回の講演に先立って皆さんは、私が昨年(2014)末に上梓した拙著『甘えたくても甘えられない』(河出書房新社)を事前に読んでくださり、それに対する感想や疑問をまとめてお送りくださいました。したがって、本日の講演は皆さんからいただいた感想やら疑問を念頭に置きながらお話することにしました。ただ、質問らしい質問はさほどなく、感想が多かったのですが、あまり質問がなかったということは、何が何だかよく分からなかったという印象をお持ちの方も少なくないのではないかと少々危惧しております。そこで私がこの本をどんな思いで書いたのか、そのあたりのことからお話してみたいと思います。皆さんにどんなことをわかっていただきたかったのか、ということですね。本の内容を肉付けするようにしてお話することにします。