Abstract:
2004年度にスタートした西南学院大学法学部のSA制度も、創設後10年を迎え、多様な形態のSAが活躍するようになった。本学部SAの特徴は、SAが下級生の学習支援にあたることに見られる。すなわち、SAが教員の事務補助にとどまらず、組織的かつ一定期間持続的に学生の学習支援にあたるというのは、今までのところ文系学部においては、非常に珍しいのである。このような取り組みが全国に広がらない理由の一つとして、SAが学習支援をするという場合には、SAが大学院生ではなく学部生であることから、当然、同じ学部学生が同じ学部学生の学習の支援をするということになり、場合によっては、支援する側とされる側の学年差が1年だけという事態が当たり前のように生じることがあげられる。本来このような支援は学部学生には難易度が高いのである。そのため、SAの力を学習支援に有効に活用するためには、SAのサポート、SAの研修、SA業務の絞り込みなどが必要になる。本学部のSAにおいても事情は同じであるが、従来はSA研修の必要性についての意識が低く、内外での事例報告の際にしばしば、このことが改善点として指摘されていた。そこで本学部でも遅まきながら、2012年度にSAの研修体制について洗い直してみたところ、SA制度の運営のなかである程度は自然に研修的なこともなされていた。SAの種別によっては自覚的に研修もなされていた。しかし他方で、SA研修の強化が必要な部分も明らかになり、
その部分において2013年度から組織的なSA研修を開始した。以下、本稿では本学部のSA研修の現状について報告したい。なお、SA研修の内容にも多様なものがあるが、本稿ではSA研修を大きく、基礎的研修とプログラム別研修に分けることにしたい。基礎的研修とは、チュータリングの指針、原則や心構えの研修であり、プログラム別研修とは個別のプログラムに応じた効果的な学習支援の技能の研修である。