視標追跡検査を用いたパーキンソン病患者の手の運動機能の解析:DBS手術の定量評価
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061.人間科学論集 Studies in human sciences
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第10巻1号 (2014)
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視標追跡検査を用いたパーキンソン病患者の手の運動機能の解析:DBS手術の定量評価
井手, 順子
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杉, 剛直
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島, 史雄
Researcher profile
Other Titles:
Quantitative Evaluation of Hand Movement on Visual Target Tracking for Patients with Parkinson’s Disease
Alternative:
Ide, Junko
Sugi, Takenao
Shima, Fumio
URI:
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1117
Date:
2014-08
Abstract:
パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は,大脳基底核の黒質における脳内神経伝達物質ドパミンが不足する神経変性疾患で,中年以降に発症し,原因不明の進行性の病気である.PDの主な運動機能障害の特徴は,上肢および(または)下肢の4-6Hz の振戦(tremor),筋肉のこわばりである固縮(rigidity),動作が緩慢になったり動かなくなる無動((akinesia),寡動(bradykinesia)),そして体のバランスを保てなくなってしまう姿勢反射障害(postural instability)の主に4つである.病気が進行すると歩行も困難になり,日常生活動作(activities of daily living:ADL)は著しく低下する.PD患者に対する一般的な治療は,不足したドパミンを補うために,レボドパ(L−dopa)などの投薬を行うことであるが,症状が進行した場合,薬物療法がつ ねによりよい改善方法でない場合もある.薬がきかない,またはきいている時間が短い場合や,薬の副作用(薬の効きすぎによる不随意運動,ジスキネジア(dyskinesia)など)が強い場合などは,脳深部に電極を埋め込み,電気的な刺激を与える外科手術である脳深部刺激(Deep Brain Stimulation:DBS)が行われる.DBS手術では,視床下核(subthalamic nucleus:STN)や淡蒼球内節(internal segment of the globus pallidus:GPi)に細い針電極を埋め込み,電気的な刺激を24時間連続して行う.DBS手術後は,刺激の強さや頻度を調整して,各患者にとって全身状態を最適に保つ.PD患者は手術によって薬の量を大幅に減らす事ができ,薬の副作用や振せんの症状などもかなり軽減される.DBS手術はパーキンソン病の根本治療ではないものの,PD患者に対して極めて効果的な治療法といえる.しかしながら,その効果や有効性は,通常現場の医師による主観的な視察により評価されており,定量的な評価はあまり明確に行われていない. PD患者の症状の程度を評価するには,Hoehn & Yahrの重症度分類(ヤールの値)が基本であるが,さらに日常生活活動の評価も兼ね備えたパーキンソン病統一スケールUPDRS(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)も広く採用されている.UPDRSは4つのパートに分かれており,それぞれ精神機能,行動および気分(Part I),日常生活動作(Part II),運動能力検査(Part III),治療の合併症(Part IV)から構成される.UPDRS の中で,運動に関する項目のPart III では,指タップや手の回内回外運動,運動量の減少や動作緩慢などがあり,医師の経験に基づいて評価されている部分もある.PD患者の初期症状としては,振せんの頻度が圧倒的に高く,次いで歩行障害である.歩行の第一歩がでなくなる第一歩障害やすくみ足,歩幅が狭くなる小刻み歩行やつま先歩行,前屈前傾姿勢から一度動き出すと徐々に速足になる突進現象などがある.PD患者の歩行や姿勢に関しては,PD患者と高齢者の歩行解析や,トレッドミルによる歩行計測,立位姿勢制御能力の評価などが行われている.歩行以外でも,ヒトの運動機能の解析と評価に関する研究は多く行われている.視標追跡検査は,ヒトの手の運動機能を評価する有効な手段の1つである.幼・小児を対象とした上肢運動機能発達の評価のために、視標追跡描円運動課題の結果に対し、3次元モデルの構築が行われた.著者らは過去の研究において,視標追跡運動機能検査を小脳失調症患者とPD患者に対して行い,病態群間による特徴抽出を行った.その結果,反応性や正確性について,両郡間で相違が見受けられた.PD患者に関しては,小脳失調症患者に比べて運動機能そのものは劣っていたものの,学習効果が認められた.本研究では,毎回異なる軌跡を描き,ランダムな方向に移動するランダム変動視標を用いた追跡運動機能検査を,DBS手術対象者である6名のPD患者に対して行った.DBS手術効果を定量評価するために,DBS手術前と,術後1週間程度で視標追跡検査を行い,手の動きの特徴を評価しうるパラメータを用いて手の運動機能の比較を行った.目標視標に対する反応性や追従の正確さ,速やかさといった,PD患者の運動特徴と関連のある評価パラメータを被検者の検査結果から算出し,DBS手術の効果を評価した.また,健常成人の検査結果との比較も行った.
Publisher:
西南学院大学学術研究所
Alternative:
Seinan Gakuin University Academic Research Institute
ISSN:
1880-3830
Journal Title:
西南学院大学人間科学論集
Volume:
10
Issue:
1
Start Page:
65
End Page:
80
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Name:
hs-n10v1-p65-80-i ...
Size:
987.6Kb
Format:
PDF
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