Abstract:
カナダ・オンタリオ州トロント市で活動するMount Sinai Hospital ACTチーム(以下MACT)は,重度精神障害者のための訪問型の地域精神医療支援であるACT プログラムを実践している。活動地域には移民が多く,MACTのクライアントは白人以外の民族(中国系,韓国系,ベトナム系,タミル系など)に限定されている。そのためスタッフも全員多民族である。Ontario Common Assessment of Need(以下OCAN)は,MACTにおいて用いられているニーズアセスメントツールである。現在オンタリオ州の多くのメンタルへルス支援機関で利用されている。筆者は,2010 年と2012年に行ったMACTでのソーシャルワーク研修において,OCANおよびその利用実態に深く関わる機会をもった。そして,OCANは利用者の支援計画作成等に非常に役立っているものと実感した。我が国では,クライアントのニーズを測る統一されたアセスメントツールはほとんど使用されていないのが現状である。このような現状を鑑みるに,OCANについて紹介することは極めて意義がある。本稿では,OCANの構造や内容について紹介する。なお,現在筆者は日本語でのOCAN作成を試みており,いずれは,OCAN日本版を作成する予定である。