Abstract:
本稿は,学習者が大学で英語を学習する目的意識を分類し,量的に調査した結果の報告である。本研究では,英語学習の目的を言語,教養,功利,理想の4つの目的に分類し,316人の大学生を対象に目的意識に関する23項目の質問票調査を実施した。その結果,功利目的が最も高く,続いて教養目的,言語目的,理想目的の順となった。しかし各目的の内容を精査すると,学習者の目的意識は多様で複雑であることが分かった。功利目的は,単位取得や就職など現実的な利益に関わる項目の平均値が高く,また自己受益目的の方が公共の利益目的よりも高い傾向にあることが分かった。一方,教養目的も全体として高い平均値を示し,教養の涵養を目的とする英語学習は,学習の喜びにつながる傾向が見られた。言語目的,理想目的は,項目の平均値が比較的低かったものの,全体としては肯定的な傾向にあり,学習者の英語学習目的の多様性が確認された。また,学習者の英語学習目的は固定的なものではなく,学習や体験によって変化していくことも明らかとなった。