Abstract:
西南学院大学言語教育センターは, 言語教育に関する方針とプログラムを作成,実施し,全学的な言語教育を推進, 運営する役割を担っている。本研究では,今後策定される言語プログラム作成の予備的調査として, ヨーロッパ共通参照枠(CEFR)の自己評価表の本学での応用可能性を探るべく,またCEFR を基準とした本学学生の英語運用能力自己評価を測定した。調査の結果,CEFR の自己評価表は,概ね本学の英語教育プログラム作成の際にも応用できる可能性があるということが分かった。ただし,自己評価表の中には,本学学生の言語技能の自己評価を測定するには不適切な項目が含まれており,その点の検討の必要性があることも明らかになった。一方,本学学生の英語運用能力の自己評価は,CEFR の基準ではA2 レベルであるという結果を得た。また,受容技能の方が産出技能に比べ自己評価が高い傾向にはあるが,学習経験が最も多いと思われるリーディング技能が他の技能と比較して著しく高いと評価している訳ではないということも分かった。本稿は,本学言語教育プログラム作成の際のCEFR の応用可能性とそれに伴う問題点や留意すべき点,本学学生の英語運用能力自己評価の現状,さらに言語教育センターに期待される役割について述べる。