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欧州の銀行同盟構想と財政同盟
The banking union plan and the fiscal union in Europe
尾上, 修悟
オノエ, シュウゴ
Onoe, Shugo
ユーロ危機の要因として,域内の経常収支不均衡や競争力格差,あるいは競争力不足,などの点がこれまで度々指摘されてきた。しかし,それらが,ユーロ崩壊の直接的契機になるか,と言えば決してそうではない。さらに,そうした諸問題が仮に解消されれば,欧州は危機から脱出できるか,と問えば,これも定かでない。むしろ,ここで最も恐れるべき点は,一触即発的にユーロ圏を崩壊させてしまうメカニズムが,欧州に潜んでいる,という点である。それは,ファイナンシャル・タイムズ(以下,FTと略)紙の有力記者W.ミュンショー(Münchau)も強調するように,欧州の全般的な銀行取付け,という現象を指す。これをいかに阻止するか。欧州にとって,それこそが喫緊の課題とならなければならない。確かに,今まで欧州中央銀行(ECB)は,非伝統的な方法を駆使しながら,銀行危機,さらには,それと密接に連結するソヴリン・リスクを防ぐことに精力を注いできた。しかし,後に詳しく論じるように,それには一定の限界があった。そうだとすれば,ECBの政策に取って代わる新たな方法が見出されねばならない。このような状況に直面して,欧州は,銀行の破綻処理や預金保証を含み込んだ新しい体制づくりを目指した。これが,財政同盟を視野に入れた銀行同盟(banking union)と呼ばれるものであった。そこで本稿では,ECB による銀行・国家救済策の限界を指摘した後に,この銀行同盟がどうして必要なのか,それはいかなる考えの下に練られてきたか,それに対する諸国の反応はいかなるものであったか,そして,この同盟案はいかなる意義と課題を持つか,などの点について検討を加えながら,将来の欧州における財政同盟のあるべき姿を探ることにしたい。
西南学院大学学術研究所
Seinan Gakuin University Academic Research Institute
2015-07-28
2015-07-28
Departmental Bulletin Paper
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1145
http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/123456789/1145/1/ec-v49n1-p61-109-ono.pdf
0286-3294
西南学院大学経済学論集
49
1
61
109
2014-06
jpn
publisher
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欧州の資金トランスファー論と財政同盟
The transfer theory and the fiscal union in Europe
尾上, 修悟
オノエ, シュウゴ
Onoe, Shugo
マーストリヒト条約をめぐる議論の中で見られた 1つの争点は,欧州が,連邦的規模での予算を十分に与えること無しに,単一通貨を果して採用できるのか,という点であった。少なくとも,加盟国の景気変動から生じる非対称的ショックを吸収できるような,景気安定のためのメカニズムが想定されねばならないのではないか。この点が問われたのである。そうした問題提起は,欧州内と同時に,域外とりわけ米国の中でも,P.クルーグマン(Krugman)らの著名な経済学者達により発せられていた。通貨同盟と連邦予算とは並行して進められるべきであり,そうした予算が,調整手段としての自動安定装置をつくり出す。欧州の経済・通貨同盟(EMU)には,そのようなメカニズムが存在しない。かれらは,このように批判した。では,そうしたEMUの欠陥は,欧州でいかに克服されるべき,と論じられてきたか。実は,欧州においても,マーストリヒト条約に合わせる形で,理論家により,自動安定装置に関する議論が盛んに展開された。しかし,そのような議論が,現実に適用される場面は,容易に現れなかった。ところが,危機が欧州を育てる,という伝統に倣うかのように,2007年以降のユーロ圏の危機,とりわけ南欧の危機に直面した欧州はついに, 1つの自動安定システムを将来,確立させるべきという姿勢を表明したのである。本稿の目的は,1990年代初めから論じられてきた資金トランスファー論の内容をフォローしながら,その理論的検討を行うと共に,それが今日,ようやく現実のシステムとして,欧州統合計画の中に描き出されたことの意義と課題を考えることである。
西南学院大学学術研究所
Seinan Gakuin University Academic Research Institute
2015-07-28
2015-07-28
Departmental Bulletin Paper
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1146
http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/123456789/1146/1/ec-v49n1-p31-59-ono.pdf
0286-3294
西南学院大学経済学論集
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インドの経済発展に対する検討-21世紀「最初の10年」から「次の10年」に向けて-
加藤, 眞理子
カトウ, マリコ
Kato, Mariko
西南学院大学学術研究所
Seinan Gakuin University Academic Research Institute
2015-07-28
2015-07-28
Departmental Bulletin Paper
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1147
http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/123456789/1147/1/ec-v49n1-p1-30-kat.pdf
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西南学院大学経済学論集
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2014-06
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