松原, 知生
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2005-08)
16世紀前半におけるシエナ絵画の立役者,ドメニコ・ベッカフーミ(1486-1551年)による《シエナの聖女カテリーナの聖痕拝受》(1514-15年頃,シエナ,国立絵画館,図1)は,初期の真筆として高く評価され,従来とりわけ様式的な観点から詳細に論じられてきた作品である(1)。他方,その図像学的な諸側面についても,近年パイク=ゴードリーが綿密な分析を行なっている(2)。本論は,こうした先行研究を踏まえながらも,とりわけパイク=ゴードリーの ...