須藤, 伊知郎
(西南学院大学学術研究所Seinan Gakuin University Academic Research Institute, 2009-03)
マタイによる福音書10,23はこの福音書の中でも解釈が最も困難な箇所の一つである。Albert Schweitzer はここから史的イエスはいわゆる「徹底的な終末論」を考えていたと主張した。彼の解釈は、マタイ10章が編集によって構成された複合体であることを顧慮していないので、そのまま採用することはできない。しかし、マタイ10,23の発言の衝撃性を発見した彼の功績は残る。以下ではまずこの箇所に関する従来の解釈を概観した後、この発言をマタイ ...