dc.contributor.author |
鄭, 義哲 |
ja |
dc.date.accessioned |
2015-11-17T02:29:33Z |
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dc.date.available |
2015-11-17T02:29:33Z |
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dc.date.issued |
2014-11 |
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dc.identifier.issn |
0286-3324 |
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dc.identifier.uri |
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1183 |
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dc.description.abstract |
2014年6月24日、政府から「日本再興戦略の改正版」が公表された。そこには上向いてきた日本経済の持続的な成長のための課題となる主要な改革の10のポイントがまとめられている。その中でも特に「コーポレートガバナンスの強化」は、日本企業の稼ぐ力を取り戻すための、成長戦略の柱として位置づけられている。一般に「企業統治」として訳されるコーポレートガバナンスは、さまざまに定義されているが、ファイナンスの観点からいうと企業価値を最大化するための仕組みと定義できよう。では、企業価値は誰にとっての価値をいうのであろうか。通常は企業のビジネスリスクを主に負担して企業に資金を出す投資家である株主を指すことが多く、その故、コーポレートガバナンは株式価値を最大化するための仕組みと定義することが多い。Scleifer and Vishny(1997)の定義もその一つであろう。「コーポレートガバナンスにおけるファンダメンタルな問いは、資金の出し手である投資家(株主)の期待に応えられるリターンをどのように確保するかにつきる(:The fundamental question of corporate governance is how to assure financiers
that they get a return on their financial investment)。」もっとも、企業価値に貢献しているのは株主(シェアホルダー)だけではない。しかし、目に見える形で測定しやすい物差しとしての株価を経営の軸とすることが、現実的な次善策として考えられ、現代の多くの企業において株主価値の最大化は大きな経営課題となっている。投資家の観点から、企業価値を高めるための経営者の経営努力をいかに引き出すかを考えるのがコーポレートガバナンスの核心ともいえる。このように考えると、経営者の努力を引き出す手段としてのインセンティブ報酬制度やその経営者を監督する取締会の改革の重要性は自然に高まってくることは容易に推測できる。特に近年のように株主重視の傾向の強い外国人投資家の日本株の持株比率が高まっている、市場環境の変化の中ではますます重要になってくるだろう。そこで、本稿ではコーポレートガバナンスの一手段として考えられる、長期インセンティブ報酬制度の一つであるストックオプション制度に注目する。役員や従業員の報酬を株価に連動させることによって企業の内部関係者と外部の株主の利害を一致させ、利益向上(その結果、株価の上昇につながる)に向けて強いインセンティブを持たせる中長期のインセンティブ報酬としてのストック・オプション制度の効果について考察する。もっとも、ストックオプションは、経営者と株主の利害を一致させる「いい意味の」インセンティブばかりもたらすわけではない。「もし、株価が短期的な業績に強く影響され、経営者がそのことを認識している場合
には、ストックオプション報酬は経営者の短期的な利益への関心を強めてしまうというデメリットも付随する(佐々木、2014)」。このように光と影の両面を持つストックオプション制度が実際に導入企業にどのような効果を及ぼしているかどうかは実証的問題である。そこで本稿では、ストックオプション導入に対しての市場の評価を長期のスパンで観察することによってその効果を明らかにすることを目的とする。ストックオプション導入イベントに関してはKato, Lemmon,Luo,and
Schallheim(2005)で、短期のイベントスタディを行い、平均的に市場はストック・オプション導入の発表時点でその効果を株価に反映していると報告している。本稿では、Kato et al.(2005)のように短期のイベントスタディーではなく導入後の1年間の期間で長期の株価パフォーマンスを測定する。その理由は、ストック・オプションの持つ中長期のインセンティブ報酬という意味合いから、その効果も短期より長期の方がより適切ではないかと考えるからである。市場が効率的であれば、ストックオプション導入の持つインセンティブ効果により期待できる将来の長期的利益の改善は、現在時点の株価に反映され、長期のスパンで異常リターンが発生するという理論的根拠はない。しかし、Lilienfeld-Total and Ruenzi(2014)は、投資家が戦略的意味で合理的であれば、効率的市場においても過小評価均衡(underpricing equilibrium)が維持され、正の異常リターンの発生はありうるという。本稿のテーマであるストックオプションのコンテキストでいえば、ストックオプション付与によって期待できる経営者の将来の経営努力を引き出す前にその効果を先に現在の株価に反映することによって、経営者の経営努力へのインセンティブは逆に弱まるかもしれない。付与後の経営者の経営努力の実現の度合いによって事後的に評価を調整する方が投
資家にとって戦略的行動かもしれない。何れの可能性にしても、ストックオプションの効果が評価されているのであれば、長期のパフォーマンスに表れていると考えられる。ストックオプション関連の国内の先行研究は、ストックオプション導入の決定要因についての分析が多く、またその効果に関しても導入後の収益性のパフォーマンスを測定しているのがほとんどで、ストックオプション
導入の効果を、市場の評価である導入企業の株式のパフォーマンスから測定している国内の先行研究は筆者の知る限り、存在していない。本研究の意義はここにある。本稿の構成は次の通りである。第2章では、ストック・オプション制度の概要と効果について述べた後、関連先行研究について概観する。第3章では、本稿で使用しているデータの説明そして分析対象となるストック・オ
プション導入企業のリスク調整前の株式パフォーマンスについての分析結果を報告し、第4章では、リスク調整を行った後のストックオプション導入企業の株式パフォーマンスの分析結果を報告する。そして最後に第5章で、全体のまとめを行う。 |
ja |
dc.language.iso |
jpn |
ja |
dc.publisher |
西南学院大学学術研究所 |
ja |
dc.title |
長期インセンティブ制度としてのストックオプションとその効果 |
ja |
dc.title.alternative |
A Stock Options as the Long term Incentive Plans and Its Effect |
en |
dc.contributor.transcription |
チョン, ウイチョル |
ja |
dc.contributor.alternative |
Jung, Euicheol |
en |
dc.publisher.alternative |
Seinan Gakuin University Academic Research Institute |
ja |
dc.type.niitype |
Departmental Bulletin Paper |
ja |
dc.identifier.jtitle |
西南学院大学商学論集 |
ja |
dc.identifier.volume |
61 |
ja |
dc.identifier.issue |
2 |
ja |
dc.identifier.spage |
39 |
ja |
dc.identifier.epage |
61 |
ja |
dc.textversion |
publisher |
ja |
jpcoar.creator.nameIdentifierNRID |
1000060403226 |
|
jpcoar.creatorAffiliation.nameIdentifierKakenhi |
37105 |
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dc.teacher.researchmap-id |
R000050419 |
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dc.teacher.researchmap-url |
fgVOFeapGBvsiIEXdqLb |
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