第48巻1号 (2015)
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1203
第48巻1号
2024-03-28T23:13:51Z
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正当事由条項の構造に関する一考察-近時のドイツの裁判例と批判的な見解を素材として-
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1209
正当事由条項の構造に関する一考察-近時のドイツの裁判例と批判的な見解を素材として-
田中, 英司
2015-06-01T00:00:00Z
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概括的訴因における被告人の防御
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1210
概括的訴因における被告人の防御
小野寺, 雅之
前回の論説では、覚せい剤の自己使用事犯における「否認形式の公訴事実」による訴因を取り上げ、検事としての実務経験を踏まえて検討を加えた。結論として、「否認形式の公訴事実」による訴因であっても、「審判対象の特定」の機能を害することはないだけでなく、「防御対象の限定」の機能にも欠けるところはないことについて、裁判例や実際に想定できる事例を前提として検証した。本稿では、殺人や傷害致死事犯等一般刑法犯における概括的訴因を対象として、判例や裁判例を分析・検討し、「審判対象の特定」や「防御対象の限定」という機能が果たされているかを検証する。特に、「防御対象の限定」という観点から、被告人・弁護人側からどのような防御がなされたのかを、判決文から読み取れる範囲で整理してみることとする。
2015-06-01T00:00:00Z
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市町村の提起する境界に関する訴えと当事者訴訟⑴-市町村間訴訟の研究-
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1207
市町村の提起する境界に関する訴えと当事者訴訟⑴-市町村間訴訟の研究-
小林, 博志
市町村や都道府県などの自治体が提起する訴えには様々のものがあるが、これを自治体が自治体を相手に提起する訴えに限ると、訴訟形態としては、民事訴訟(通常の民事訴訟と国家賠償請求)と行政事件訴訟(取消訴訟、当事者訴訟)を考えることができる。ただし、裁判所法3条の「法律上の争訟」との関係で、現在の最高裁判例によれば、①公権力の主体として提起する訴え、②私人と同じ立場すなわち財産権の主体として提起する訴えの二つが区別され、前者は「法律上の争訟」に含まれず、法律で個別的に認められない限り訴訟と認められない、とされる。本稿では、前者に属する訴えである、自治体が提起する境界の訴えに焦点を当てて、その訴えの性格やそれに関する学説、その訴えに類似する自治体間訴訟などを歴史的に検討するものである。というのは、第一に、この訴えがそれほど検討されていないこと、第二に、それが原因なのか、近年の判例や論文などで、自治体の提起する境界に関する訴えを機関訴訟や客観訴訟として位置付けるものが多数を占め、私の意見と異にすると考えるからである。例えば、住基ネット訴訟に対する東京地裁平成18年3月24日判決は次のように述べている。「市町村の境界画定の訴え(地方自治法9条9項)は、地方公共団体が行政権の主体として提起する訴えであり、課税権の帰属等に関する訴え(地方税法8条10項等)及び住民の住所の認定に関する訴え(住基法33条4項)は、地方公共団体の長が行政権の主体として提起する訴えであり、これらは、いずれにし
ても「法律上の争訟」に当たらないものの、裁判所が審判することできるものであって、一般に機関訴訟の一例と解されている。」と。判決文にいう9条9項の境界画定の訴えは、私見によれば当事者訴訟である。また、学説では、境界紛争について知事の裁定や決定について、市町村が提起する訴えを機関訴訟とする学説が多くなっている。私見は裁定や決定を不服として市町村が提起する境界の訴えを抗告訴訟と解する点で意見を異にする。本稿は、第一に、市町村が提起する境界に関する訴えについて、その制度が発足した明治21年の市制、町村制から地方自治法の制定、改正など現在の制度に至る、法制度の変化、それに対する学説、判例などを検討し、市町村が提起する境界に関する訴えの性質や意義などを検討する。第二に、その場合、学説において、市町村の提起する訴えを当事者訴訟と位置付けることがなされているが、そのことにも言及する。なお、境界に関する訴えについて、境界を画する基準について実務や判例を分析するとか、境界についての判例の傾向を分析するとか、ということも検討すべき課題であると考えるが、それは本稿の目的とするところではない。さらに、市町村が提起する境界に関する訴えの性質について、本稿では、それが当事者訴訟又は抗告訴訟なのか、機関訴訟なのかを問題とするが、当事者訴訟とした場合、確認訴訟か形成訴訟のどちらかがさらに問題となる。この問題
についても、考察の対象としない。
2015-06-01T00:00:00Z
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フランス刑事再審制度の動向
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1205
フランス刑事再審制度の動向
福永, 俊輔
わが国が近代刑事再審制度を採用したのは、1880年制定にかかる治罪法においてである。治罪法は、フランス法に倣い、利益再審のみを認めた。その後、1890年制定にかかる旧々刑事訴訟法(明治刑事訴訟法)も治罪法とほぼ同様の規定を置いたが、1922年制定にかかる旧刑事訴訟法(大正刑事訴訟法)は、ドイツ法を継受し、利益再審のみならず不利益再審をも認めるに至った。しかし、戦後、日本国憲法が第39条において一事不再理を規定したことに伴い、まず応急措置法20条が「被告人に不利益な再審は、これを認めない」として不利益再審規定を廃止し、その後、1948年に制定された現行刑事訴訟法も、不利益再審を廃し、再審を利益再審に限って認めている。こうして、現行のわが国の再審制度は、「再びフランス型に戻った」と評される。わが国の再審制度の起源であるフランスに目を向けると、近時、刑事再審制度をめぐって、大きな動きがあった。昨年、「刑事確定有罪判決の再審および再審査の手続の改正に関する2014年6月20日の法律」(LOI n°2014-640 du 20 juin 2014 relative à la réforme des procédures de révision et de réexamen d'une condamnation pénale définitive。以下、フランス2014年
法ということもある)の公布・施行に伴い、フランス刑事訴訟法における再審規定の改正が行われたのである。わが国の治罪法制定に当たり基礎とした1808年ナポレオン刑事訴訟法典は、わが国の刑事再審制度にとどまらず、近代的な再審制度の立法化の起源であるとされる。もっとも、すでに指摘されているように3)、そこで規定された再審規定は、極めて厳格なものであった。しかしながら、以後のフランス刑事再審制度は、個別の誤判事件とそれに対する世論を背景として改正を繰り返しながらその厳格性を改め、リベラルな性格を持つ再審制度として結実した。2014年のフランス刑事訴訟法の再審規定の改正は、こうした再審制度につき、全面的な改正を行ったものである。ところで、近時、わが国においては、刑事再審をめぐる動きが活発化している。昨年、袴田事件第二次再審請求審に対して、静岡地裁は、再審の開始と拘置の執行停止という判断を行った。2000年以降に目を広げても、布川事件、氷見事件、足利事件、東電OL事件で再審無罪の判断が下されている。しかし、その一方で、名張事件、福井女子中学生殺人事件では再審開始決定後に取り消しがなされ、その他北陵クリニック事件、飯塚事件、恵庭OL事件、大崎事件などでは再審請求が棄却されている。こうした再審に関する動きの中で、研究者やこれら再審事件に直接かかわっている実務家から、再審請求審における判断構造、証拠開示の問題、再審開始決定に伴う刑の執行停止の問題やいわゆる「再審格差」の問題などが指摘されている。フランス刑事再審制度は、わが国が現在抱えているこれら再審の問題を考察するうえで参考となる点が多く、きわめて示唆に富むように思われる。そこで、本稿は、フランス2014年法により新たに改正されるに至ったフランス刑事再審制度につき、従来のフランス再審制度との比較を通じてこれを紹介し、フランス刑事再審制度の近時の動向を確認することをその目的とするものである。
2015-06-01T00:00:00Z