第51巻1・2号 (2016)
第51巻1・2号
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1370
2024-03-28T16:02:10Z
2024-03-28T16:02:10Z
韓国経済の成長パターンの変化と要因
崔, 宗煥
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1373
2021-11-10T05:16:20Z
2016-09-01T00:00:00Z
韓国経済の成長パターンの変化と要因
崔, 宗煥
近年,韓国経済は,中国経済の成長鈍化に伴う世界的な不況が懸念されている中で,その経済成長率の下落が危惧されている。いわゆる「チャイナ・ショック」による世界的な不況の兆しが,韓国経済のあらゆる部門において露呈し,その影響は拡大しつつある。第2次大戦後の日本経済の高度経済成長を追いかけるように,「ハンガン(漢江)の奇跡」ともいわれた高度経済成長を成し遂げてきた韓国経済の成長は,近年,その成長の勢いを失いつつあるのではないかという状況が続いている。本稿では,近年における韓国経済の成長率鈍化とそのパターンの変化に注目して,戦後から最近に至るための成長を振り返ることによって,成長パターンの変化がいつからであったのか,そして,その変化の背景にはどのような要因があるのかについて,主としてマクロ的な視点,つまり国民所得統計データから探ってみることを目的とする。
2016-09-01T00:00:00Z
韓国経済の労働市場の現状と課題
崔, 宗煥
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1374
2021-11-10T05:16:20Z
2016-09-01T00:00:00Z
韓国経済の労働市場の現状と課題
崔, 宗煥
2015年7月21日,韓国の朴大統領は,「公共」,「労働」,「金融」および「教育」などの4大部門における改革を2015年下半期の国政運営の核心的課題として宣言し,同年8月20日,国民向けの談話を発表した。この政府の方針を巡っては,当初から多くの批判や指摘が絶えず,今に至るまでに具体的な成果はみられていないといえる。とりわけ,労働部門改革に注目すれば,すでに,「通常賃金・勤労時間の短縮・定年延長」などの3大原案を巡り,いわゆる大統領直属の経済社会発展労使政委員会(経済社会発展労使政委員会法(法律第8852号)により設立された大統領所属の諮問委員会であり,1998年1月15日,第1期労使政委員会が開かれ,主に,労働政策とこれと関連する経済・社会政策などを協議することを目的とし,大統領に対する政策諮問
の役割をも遂行する)では,経済界と労働界の意見の隔たりがあまりにも大きく,政界でも野党からの強力な反発が続き,課題解決への展望は決して明るくない。朴大統領は,「労働市場,雇用市場の構造改善のために推進している定年延長と賃金ピーク制など賃金体系の改変をいち早く終えなければならず,労働改革は,つまり働く場の維持及び新しい仕事の創出,とりわけ青年の働く場の創出にとって要となるから…」とした。本稿では,戦後の韓国経済の成長に伴って変化してきた労働市場における環境変化を振り返りながら,とりわけ,現状における労働市場の最大の課題といえる若者の失業率問題に焦点を当て,その実態把握と,問題発生の背景にどのような要因があるのかについて分析することを目的とする。
2016-09-01T00:00:00Z
自治体公共資本の地価への影響―自治体財務書類を用いた分析―
近藤, 春生
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1371
2021-11-10T05:16:20Z
2016-09-01T00:00:00Z
自治体公共資本の地価への影響―自治体財務書類を用いた分析―
近藤, 春生
国の財政状況の悪化や少子高齢化などによって,わが国の地方財政は今後より一層厳しい状況に直面することが予想され,効率的な財政運営が求められる。とりわけ,基礎的自治体である市町村については,Oates(1972)の地方分権定理が教えるように,一般的には住民のニーズを知る上で有利な立場にあると考えられることから,効率的な公共サービスの提供が強く期待されることになろう。地方財政論の分野では,地方公共サービスの資本化(Capitalization)は従来から重要なテーマになってきた。資本化仮説とは,地方公共サービスの便益や地方税負担が,当該地域の地価(もしくは地代など)に反映されるとするもので,古くから,Tiebout(1956)の「足による投票」の検証や地方公共サービスの効率性の評価などに多く用いられている。わが国でも,社会資本の効率性について分析したものは多く,田中(1999)や三井・林(2001),林(2003),
赤木(2004),近年の研究としては,中村・中東(2013)などがあげられる。ただし,これらの多くの研究はデータによる制約から,都道府県単位の分析となっており,地方自治体が供給する公共資本・サービスが地価に影響するかについては十分に分析されていない。これに対して,近藤(2008),(2009)では,都市もしくは市町村単位で,地方財政の資本化について検証しており,地方自治体の公共サービスや税負担,財政移転などが地価に反映している可能性を指摘した。しかしながら,市町村レベルでは,公共資本のストックデータを得ることが困難であるために,主に財政支出を中心としたフローの指標を用いた分析に留まっている。一方,総務省は個別自治体の財政の把握と政策評価を目的として,企業会計的手法を取り入れた財務書類の作成を促すべく,2006年に「新地方公会計制度研究会」を立ち上げ,当研究会報告書で提示された2つのモデル(地方公共団体財務書類作成にかかる基準モデル=「基準モデル」と,総務省方式改訂モデル=「改訂モデル」)に基づく財務書類の作成と公表を各自治体に要請してきた。この結果,2012(平成24)年度決算に係る財務書類を作成する団体(作成済み・作成中含む)は,都道府県の100%,市区町村の96.7%にも達しており,かつ,作成済みの自治体の過半数が「改訂モデル」を採用している。「改訂モデル」は,従来の自治体の決算統計をベースにして,財務書類を作成するもので,導入段階では特に資産の数値については,概数にならざるを得ないという限界を抱えているとされる(大塚2014)が,貸借対照表では,自治体が所有する公共資本に相当する有形固定資産について,分野別の評価額を得ることができる。
2016-09-01T00:00:00Z
ギリシャと債権団の金融支援交渉
尾上, 修悟
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1372
2021-11-10T05:16:20Z
2016-09-01T00:00:00Z
ギリシャと債権団の金融支援交渉
尾上, 修悟
ツィプラス政権は,シリザのマニフェストで明らかにされたように,欧州と決別するつもりはなかった。かれらは,あくまでもユーロ圏に留まることを前提として,これまでに遂行されてきた緊縮政策から脱出し,自律的で内発的な構造改革を推進することを意図した。その上で債権団に対して金融支援を求めること,これがツィプラス政権の基本的なねらいであった。果して,それはスムーズに達せられたであろうか。そこには様々な問題が潜んでいた。首相のツィプラスにしても財務相のヴァルゥファキスにしても,対外的な交渉は初めての経験であった。ヴァルゥファキスに至っては,政治家としての経験も皆無であった。かれらにとって,交渉の直接的対象となるユーログループがいかなる組織でどのように運営されているかを知る由もなかった。主たる交渉相手が,政治家というよりはむしろEUのテクノクラートであったことも,かれらにとって大きな障害になったことは容易に想像できる。他方で,他のユーロ圏のパートナーが,そもそもツィプラス政権の基本的政策に対して反対する姿勢を強く示したことは,交渉を一層難しくさせた。ドイツはもちろんのこと,南欧の盟主であり,ギリシャをサポートできるはずのフランスさえも,規律を守る責任と義務を強調しながらかれらに譲歩する姿勢を示さなかったのである。さらには,ツィプラス政権が一枚岩の政策を打ち出すことができなかったことは,大きなマイナス耍因となった。シリザの党内において,穏健派と過激派の対立が当初より見られたし,また連立与党内においても,シリザと独立ギリ
シャ人党との間で意見の食違いが生じたのである。以上のような様々な要因が絡む中で,ギリシャと債権団の金融支援交渉は初めから難航し,最終的に決裂した。本稿の目的は,そのプロセスを詳細に追跡しながら,一体,両者の間で何が問題になったかを明らかにすることである。そうすることによって,それらの問題が,ギリシャと欧州にとって何を意味するかを考えること,それが本稿の間接的動機となっている。
2016-09-01T00:00:00Z