第49巻2・3号 (2014)
第49巻2・3号
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1148
2024-03-19T01:45:51Z
2024-03-19T01:45:51Z
道路資本ストックの地域経済効果
近藤, 春生
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1157
2021-11-10T05:16:20Z
2014-12-01T00:00:00Z
道路資本ストックの地域経済効果
近藤, 春生
我が国では,特にバブル崩壊後の1990年代に景気対策として公共投資が積極的に用いられてきたにも関わらず,景気回復が思わしくなかったこともあり,公共投資の有効性や,社会資本の効率性について懐疑的な見方がなされるようになって久しい。しかしながら,2012年の総選挙で約3年ぶりに政権に復帰した自民党は「国土強靭化」をスローガンに,再び公共投資を増額する意向を示している。少子高齢化を背景に,我が国の財政状況はより厳しくなることが予想され,効率的な予算配分を実現するためには,公共投資(もしくは社会資本)の質を高めることは喫緊の課題であるといえる。また,不況局面に入ると,特に公共事業への依存度が高い,非都市圏において,地域経済対策として公共投資を求める声も依然として聞かれ,公共投資(社会資本)が地域経済にどのようなインパクトを与えているかを分析することは今なお重要であると考えられる。
公共投資を含む公的支出や社会資本と地域経済の関係について実証的に分析したものとしては,例えば,土居(1998),林(2004a,b)や近藤(2011)があげられる。これらの研究では,都道府県単位のパネルデータを用いて,社会資本を含んだ生産関数の推定や,ベクトル自己回帰(VAR)モデルによる分析を行っている。ただし,公共投資の効果や社会資本の効率性は,その内容(産業基盤か生活基盤か,道路か住宅か)によっても大きく変わるであろう。そこで,本稿では,地域経済への貢献がしばしば期待され,事業規模が最も大きい道路に着目して,社会資本ストックとしての道路資本と地域経済との関係について,都道府県単位のパネルデータを用いたVARモデルによって明らかにすることを試みる。具体的には,道路資本と生産量,民間資本,雇用との相互関係を明らかにする。また,道路の種類による違いを考慮すべく,国道と地方道に分けて分析するほか,地域および時期による違いも考慮に入れるべくサブサンプルを用いた分析も行うこととする。本稿の構成は,以下の通りである。第2節では,社会資本や道路資本の経済効果に関する先行研究を概観し,論点整理を行う。第3節では,実証分析の枠組みとデータを説明し,推定結果について述べる。第4節はまとめである。
2014-12-01T00:00:00Z
経済史研究における計量分析の方法と課題-効率的市場仮説をめぐる分析を中心に-
前田, 廉孝
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1154
2021-11-10T05:16:20Z
2014-12-01T00:00:00Z
経済史研究における計量分析の方法と課題-効率的市場仮説をめぐる分析を中心に-
前田, 廉孝
本稿の課題は,効率的市場仮説を検証した経済史研究を概観することにより,既往研究で利用されてきた計量分析の方法とその問題点を指摘し,同仮説の検証を意図した歴史研究へ適用可能な計量分析方法を提示する点にある。本稿の考察より,第1に歴史研究において効率的市場仮説の「正否」を二項対立的に問う必要はないこと,第2に仮説検定の枠組に囚われたことによって軽視されてきた市場効率性の程度を計測する必要があること,第3に市場効率性を計測する際に特定期間における市場の一定性を仮定することは歴史研究において妥当性が低いと言わざるを得ないことを明らかにした。そして,歴史研究として市場効率性を計測する際には,既往研究で利用されてきたMoving-Window法より非ベイズ時変自己回帰モデルが適していることを指摘した。
2014-12-01T00:00:00Z
経済・通貨同盟へのフランスの政策的対応ーP.ベレゴヴォワの経済・金融政策をめぐってー
尾上, 修悟
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1158
2021-11-10T05:16:20Z
2014-12-01T00:00:00Z
経済・通貨同盟へのフランスの政策的対応ーP.ベレゴヴォワの経済・金融政策をめぐってー
尾上, 修悟
フランスのミッテラン(Mitterrand)社会党政権は,その成立当初より,欧州建設をいかに推進するか,という課題を抱えていた。ここでフランスは,伝統的精神を成す国民主義的志向と,欧州統合を支える超国民主義的志向をどのようにバランスさせるかが問われた。そしてその第2次政権が開始されると,今度は,フランスが経済・通貨同盟の設立を主導し,そこにおける自身の役割をいかに高めるか,という点が大きな課題として浮上する。フランスはそこで,当同盟の基本原則である自由と競争を推進しながら,国家による市場のコントロールの維持を図ると同時に,これまで培われてきた社会保障も充実させねばならなかった。欧州建設のプロセスは,そもそも,様々なアンビヴァレンスを抱えていた。それらは,国民主義と連邦主義,自由主義と管理主義,並びに競争主義と平等主義,などに代表されるような二律背反的な姿となって現れた。これらのアンビヴァレンスが,欧州全体の経済・金融システムを規定したことは言うまでもない。欧州統合の旗頭の一翼を担ってきたフランスにとり,それらの相克をどう乗り越えるかが,まさしく重要な課題となったのである。そして,当時,この課題に真っ向から挑戦したフランスの政治家が,P.ベレゴヴォワ(Bérégovoy)に他ならなかった。ベレゴヴォワは,ミッテラン政権の発足当初から,政治的な要職を歴任した。とくに,第2次政権において,かれは首相までも経験した。そうした中で,J.ドロール(Delors)の提起した経済・通貨同盟の構想を忠実に支持する立場から,それを確立するためのフランス自身の体制づくりに専念する。一体,かれは,経済,金融,並びに社会に関していかなる政策を打ち出したのか。また,それらの政策によって,フランスの経済と社会は,いかなる影響を受けたのか。本稿の目的は,それらの問題を検討しながら,欧州建設における経済・通貨同盟の内包する諸問題,さらには欧州統合そのものに潜む諸問題,を考えることにある。その際に筆者は,ベレゴヴォワの議会やその他で述べた発言を詳細に辿ることにした。かれの本心とフランス政府の意向をそこから引き出したかったからである。幸なことに,ベレゴヴォワの発言を集めたドキュメントが出版されている。本稿で取り上げたかれの発言は,すべてこのドキュメントに基づく。ただし,それらの出所としては,実際に行われた講演やインタヴィウの場が記されている。
2014-12-01T00:00:00Z
状態価格,リスク中立確率,そして確率的割引ファクター
相模, 裕一
http://repository.seinan-gu.ac.jp/handle/123456789/1152
2021-11-10T05:16:20Z
2014-12-01T00:00:00Z
状態価格,リスク中立確率,そして確率的割引ファクター
相模, 裕一
この研究ノートの目的は,以下の3点である。第1 に,資産価格決定の3つの方法である状態価格,リスク中立確率,そして確率的割引ファクターの関係を明らかにすること。第2に,確率的割引ファクターと代表的個人の最適化行動の関係を明らかにし,併せてリスク回避度との関係を検討すること。そして,第3に具体的数値例を用いて,3つの資産価格決定法によるオプション理論価格を求めることである。この研究ノートでは議論を単純化するため,2期間モデル(今期t=0と来期t=1)のみを用いる。はじめに,資産価格決定に関する論文,テキストでは同じ概念のものに別の用語が用いられているので,ここで整理しておく。まず,状態価格は「アロー証券」の価格であり,リスク中立確率(測度)とマーチンゲールは同義語である。また確率的割引ファクターは,「状態価格密度」,「状態価格デフレーター」,「状態価格カーネル」(Pricing kernel)とも同義である。本稿の構成は以下の通りである。まずⅠ節において,資産価格の決定に重要な「ファイナンス理論の基本定理」について説明する。続くⅡ節において,状態価格とリスク中立確率の関係を明らかにし,状態価格と生起確率との関係を示す確率的割引ファクターについて触れる。Ⅲ節においては,代表的個人の期待効用最大化の1階の条件式より,確率的割引ファクターを導き,状態価格と生起確率そしてリスク中立確率と生起確率の変換可能性について考察する。また,リスク回避度の変化による状態価格や資産価格への影響についても明らかにする。Ⅳ節においては,配当行列の各要素に具体的数値例を用いて,状態価格,リスク中立確率,そして確率的割引ファクターを求め,3つの資産価格決定方法でオプションの理論価格を求めることとする。最後に今後の課題について触れる。
2014-12-01T00:00:00Z